面倒でも薬を買う前にヒアリングさせて下さい

 高齢のお客様が『救心』を買いに見えたけれど、お店のポイントカードを忘れたとのことで取りに戻り、再訪問されたさいには息切れしていた。
 帰りを見送るときに「お気をつけ下さい」と言うと、「こういうの買ってるから?」と訊かれたので、激しい運動をして動悸がするのは当たり前なことだから、むしろ動いていない時の動悸に注意が必要なことをお話した。
 体を動かしていないのに動悸がするということは、心臓の方は何か無駄に頑張りたい状況になっているということだからだ。
 『救心』に入ってる牛黄(ごおう)は牛の胆石で、心臓の働きを助けてくれる。
 千頭のうち一匹程度からしか採取できないという貴重な物で、水戸黄門は印籠に入れていた薬とも伝えられている。
 また、強心作用のある蟾酥(せんそ)も入っており、こちらはいわゆる「ガマの油」と呼ばれている、ヒキガエルの仲間の分泌物なのだが、局方収載生薬の中で唯一毒薬に指定されているから、用法・用量は厳守である。

救心

 お客様が『エクシブW液』をレジに持ってきたのでヒアリングしてみたところ、水虫と確定してるかについては「してる」と答えたものの、病院で診断されたかを尋ねると「していない」というお返事。
 訊き方というのは、本当に難しい。
 一人暮らしで痒みは両足とのことだから水虫の可能性はあると思い、より深くヒアリングしようとしたら、「じゃあやめます」とお帰りになってしまった。
 ううむ、不審がらせてしまったか、それとも面倒臭がられたか。
 すでに水虫薬を使っていたのか、症状に気づいてからどれほどの期間が経過しているのか、確認したかったのだけれど。
 湿疹などの痒み止めの薬で様子を見る方法を、伝えるスキが無かった。
 湿疹に水虫の薬をつけてしまうと、殺菌剤ゆえに細胞が再生しようとするのを邪魔してしまい、水虫に湿疹の薬なら痒みや炎症は一時的に軽減し、使うのをやめると再発するので、それを確認してから水虫の薬に乗り換える方が安心ではある。
 なにしろ、水虫の薬を3年ほど使い続けていて、湿疹の薬に換えたら1週間くらいで治ってしまったという例もあり、登録販売者の実践的な参考書には皮膚薬の項目に水虫は含まれていない。
 何故なら、病院で診断が確定してからの販売が前提としているからだ。
 製薬メーカーによっては、パッケージに使用の前に医師に相談をするよう促している水虫薬もあるくらいである。

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