成人の親子のお客様が来店し、『キャベジンコーワα』を購入されるさいに血圧の薬を服用しているか尋ねると「大丈夫です」というお返事で、鼻炎薬の使用の有無を確認すると「使っていない」とのことだった。
しかしお会計を済ませてから、鼻炎薬と一緒に服用するとマズいのか訊かれ、鼻炎薬の効き目を落としてしまう可能性をお話したところ、自分が使う物ではなくご主人が使うそうで、血圧の薬も処方されているとのことだった。
どうして、お会計を済ませてから……(;´Д`)
レジに持ってきちゃってたから、買わないと悪いとでも思われたのだろうか。
安全性を確認して、危ない、もしくは不要と判断したら買わなくても全然構わないんだけど。
むしろ、確認してから購入を検討してもらいたいくらいで。
本来は、薬の買い出しを頼まれた人ではなく頼む人のほうが、気をつけなくちゃならない事なんだし。
お客様には、血圧が上がる可能性をお話して、市販薬の成分表示をお薬手帳に貼って処方された薬と一元管理するよう勧めた。
お客様から『ロキソニン』を求められ、薬剤師がいない店舗なので置いていないことと、化学構造式の似たイブプロフェン製剤での代用を提案したところ、病院で副鼻腔炎に処方されたとのことだった。
確かに、鼻づまりというのは鼻の奥の血管が炎症して腫れている状態なので、消炎作用のある鎮痛剤は効果があるけれど、市販薬をその目的で売ることはできない。
製薬メーカーが、効能として「鼻づまり」あるいは「鼻炎」を取得していないからだ。
おそらくは、花粉症の薬の『アレジオン』などが病院ではアレルギー性の皮膚炎に処方されていても、市販薬では効能に入っていないように、取得するにあたってハードルが高いのだろう。
ただ裏技もあって、鼻づまりのせいで頭が痛いとなれば、頭痛の目的でという解釈はできる。
お客様自身で選んだ『バファリンA』は効かなかったそうだが、アスピリンの消炎作用は血管を拡張して熱を発散することによるものだから、力不足だったのかもしれない。
ちなみに、この血管拡張作用は肩こりを伴う頭痛に向いているので、鎮痛剤も目的によって使い分けたほうが良い。
ともかく、お客様には副鼻腔炎を目的には鎮痛剤を売ることはできないため、やや誘導尋問めいているけれど、鼻が詰まると頭が重くなるという言葉を引き出して、イブプロフェン製剤とアセトアミノフェン製剤を合わせた『バファリンルナi』を紹介すると購入された。
お客様には、お薬手帳を持ち歩く事と調剤薬局で代用の薬を相談してみるよう勧めた。
一番良いのは、担当医に市販薬での代用が可能かを相談してみることだ。
例えば、漢方薬の『荊芥連翹湯』や『辛夷清肺湯』なら、書いてある効能の面から問題無く使うことができる。
高齢のお客様から、朝すっきり起きられないことに『チョコラBBローヤル2』が効くか尋ねられた。
確かに、ビタミンB類が目覚めを良くするという話はネットでも見かける。
ただ、試してみる価値はあるかもしれないが、『チョコラBBローヤル2』では価格が高すぎるから、ビタミンB類の錠剤のほうが経済的だろう。
そうお話して、起き抜けに『葛根湯』を使う方法を提案した。
上半身を温めて血流を良くし、麻黄には覚醒作用もある。
もちろんこれも、効能書きからすると別な使い方となってしまうが、頭重感を頭痛と解釈できないこともない。
しかしお客様は、そこまでも起きる気力が出ないとのことだった。
人間は疲れすぎると眠りが浅くなることを説明し、ノンカフェインのドリンク剤をと勧めたところ、病院で吐き気止めの薬が何か処方されていると分かり、それならば担当医に相談するようお話した。
処方されている薬の副作用ということも考えられるからだ。
すると薬の現物を持っていたので見せてもらったところ、抗ドパミン作用のある薬だった。
うへぇ、『葛根湯』を使っちゃ駄目じゃん:(;゙゚’ω゚’):
やっぱり薬は、用法・用量を守って使いましょう。
お客様には、薬の現物だけではなくお薬手帳を持ち歩くようにお願いした。
市販薬を利用する際にも重要な情報源になるし、出先でなんらかの事故に遭ったときに持病の確認ができれば的確な処置を早く行なえるうえ、大規模災害で避難所生活となったら特例として医師の診察を受けずとも薬を受け取れ、救援物資に入れることを依頼もできる。
ところで、起きる気力が湧かないとなると『補中益気湯』なら使えるだろうか。
効能書きが、かなり曖昧な表現になっていて、これはこれで使い所に迷うんだよねぇ。