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  • お客様から指名された薬が、ヒアリングしているうちに別な物に変わるのは珍しくありません

     やや高齢のお客様から『メモA』を求められ、乾燥の痒みに使うというお話だったが、他の売り場に行っている患者であるご主人を呼んでもらうと、虫刺されだった。
     これだから、頼まれ物の薬を案内する時には、お客様の話がどこまで正しいのか怪しく思えてしまう(;´Д`)
     そして、一緒に来てるのに患者本人が行方不明になってはならない理由でもある。
     しかも、ご主人は薬剤が黄色い『メンターム』を昔に使ったという。
     薬剤が黄色いとなると、近江兄弟社の『メンタームメディカルクリームG』だと思うのだけれど、そちらは乾燥肌に使う物で痒み止としては弱い。
     あるいは似た名前の、ロート製薬から出ている『メンソレータムメディカルビタミンクリーム』と混同してるというのも考えられ、そちらだともう痒み止め成分は入っていない。
     とにかく虫刺されだというので、『液体ムヒS』を提案した。
     でも、乾燥肌にも使いたいと注文されたため、痒み止め成分がしっかり入っていて、油分で膜を張り皮膚の乾燥を防ぐ『メンソレータム ADボタニカル』紹介すると購入された。

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     夫婦のお客様が虫刺されの薬を買いに来店し、以前にも使っていたという『マニューバEX』を購入されるので、ステロイド剤が入っているから痒みと炎症が強い場合には虫刺され以外でも使えることを伝えた。
     すると、『メンソレータム ADクリームm』など乾燥による痒みに使う薬の質問も受け、ステロイド剤が入っていない分、薬としては弱くなるものの、やはり虫刺されにも使えることをお話した。
     そのうえで、皮膚の乾燥を防ぐ保湿の方法は大きく分けて3つあることを説明した。
     一つは単純に蒸発を防ぐことで、『ワセリン』を使う方法である。
     赤ん坊や成長期くらいまでは、もともと身体に水分が豊富なので乾燥しやすい部分をピンポイントで保護すれば充分。
     次に血流を良くして水分を行き渡らせるために『ヘパリン類似物質』を使う方法で、下手に安い化粧水を使うよりも潤いを保てる。
     そして、中年期を過ぎ高齢になってくると体内の水分そのものが減るので、皮膚の中で水分をガシッと捕まえておく『尿素』を用いる。
     あと、一つの物で済ませたいと思いがちだけれど、患部の状態によっては、これらを使い分けたほうが良いこともある。

     高齢のお客様から『キュアレア』を求められ売り場を案内しながらヒアリングすると、他のお店で指先割れに勧められて使ってるとのことだった。
     顔の痒みに使うイメージのある薬だが、処方内容からすればそういう使い方もできる。
     ただ、皮膚の修復をする成分が入っていないのは気になるところ。
     そして、別件で病院から処方されたステロイド剤も使い、効いた気がするというお話をされたので、傷口には良くないことを説明したところ、『メンターム』も塗ったというので、それは悪くないと答えた。
     ステロイド剤は炎症を抑える効果が高い代わりに、皮膚が再生しようとするのを阻害して治りを遅くし、そのうえ細菌などに対する免疫機能を低下させてしまう。
     なので、上から油分の濃い『メンターム』で患部を保護するという使い方はある。
     ただ、お客様がそうしたのは偶然だったようで、今回は『ヒビエイド』をお使いいただくことになった。
     すると今度は『セイロガン糖衣A錠』を手にされたため、『正露丸』との違いを説明した。
     糖衣錠は単に甘くコーティングしているだけではなく、『正露丸』から抗炎症成分と鎮痙攣成分の2つを抜いてあるので、シクシクした腹痛などがある場合の下痢には効果が弱いと考えられる。
     そして、腸には味覚も嗅覚もあるから、あの独特の匂いもまた効果のうちである。
     下痢止めには『ワカマツ止瀉薬』という選択もあるので紹介してみると、今回は下痢止め薬そのものが取りやめとなった。
     それから最初の話に戻って、指先が割れやすいそうなので『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介し、医師への相談を勧めた。
     この長ったらしい名前の漢方薬は、分解すると「当帰=血流改善」「四逆=手足の冷え改善」「呉茱萸=水分代謝」「生姜=温め」という、アレもコレも面倒を見てくれるスグレモノ。
     思い当たる症状があれば最初に試してみる価値のある一手、あいるは他の漢方薬を試してみて上手くいかなかった場合の最後の手段と云われている。

     

  • 防水仕様の絆創膏は、水に強くても菌に強い訳ではありません

     やや高齢の女性のお客様が来店し、指先の皹(あかぎれ)に絆創膏を購入され、水に強いか尋ねられた。
     防水仕様とはいえ、できればこまめに交換をするようお話した。
     いくら防水絆創膏でも、そのまま貼りっぱなしにしていると雑菌が繁殖してしまう可能性がある。
    「防水」と「濡れたままでも大丈夫」とは違うのだ。
     同様に「滅菌済」というのは出荷の段階でのことで、開封すれば当然のように汚染されるんである。
     モイストヒーリング(湿潤療法)に特化された絆創膏の場合は、患部との密着力が高く、連続使用によって皮膚の再生を助けるため、取り替える頻度は少なくても良い。
     お客様には養生法として、お湯を入れた湯呑みを握っておくと細い血管が開いて血流が良くなり改善の補助になることをお話したところ、血圧の薬だけを飲んでいるというので『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介したのだけれど、そしたら『芍薬甘草湯』『防風通聖散』も処方されていると分かった。
     どうして、薬が後出しで増えるのか(;^ω^)

     『エスタックイブEX』をレジに持ってきたお客様にヒアリングしたところ、主訴は咳と鼻炎で、最初にあった喉の痛みは今は無く、『ストナジェルサイナス』を2日使った後というお話だった。
     それならもう解熱鎮痛剤は不要ですし、咳止めの薬に鼻の面倒も見てくれる成分が入っている物もあるので、そちらを使ってみてはと提案して、『ブロン錠』と『ブロン錠エース』を紹介した。
     痰は引っかからないというので、『ブロン錠』をお使いいただくことになった。
     どちらもパッケージには「せき・たん」と書いてあって分かりにくいけど、違いとしては咳をした時に水のような痰が出るのに適しているのが『プロン錠』で、気管支が乾燥気味だったり痰が引っかかって出にくい場合には『ブロン錠エース』の出番となる。
     総合風邪薬を使っていた人が、残った症状にも風邪薬を継続しようとするケースは多いから、やっぱり声をかけてヒアリングしておかないと心配。
     症状によっては、風邪薬の副作用で症状が続いているなんてこともあるので。

     

  • 押し売りするつもりはありません! 紹介したいモノがあります

     お客様が『ケアリーヴ治す力』を購入されるので、新しい傷に使う物であることを伝えると、3日前に包丁で怪我をしたそうだ。
     傷は深くなく湿っているようだから、まだ使えるだろうか。
     いずれにせよ、体液に色がついたりズキズキとした痛みがしたりすることがあれば、普通の絆創膏に切り替えて抗生物質を使うよう伝えた。
     湿潤療法としてサランラップを使う人もいるが、家庭でのサランラップはキッチンの水の近くにあったりして汚染している可能性もあるから、私はお勧めしない。

     女性の親子のお客様が来店し、娘さんが「リポビタンが好き」と言ってるのが聞こえたので、『リポビタンJr.』を紹介してみた。
     『リポビタンD』と違い、『リポビタンJr.』の方には五味子と刺五加という二つ生薬の入っていて、断然中身が良いんである。
     子供の方が優遇されていて、世のお父さん可哀想( ̄▽ ̄)

    リポビタンJr.

     お客様がビタミン剤の棚を見ていて、『新パワーアクトEX』を購入されるさいにヒアリングしてみたら、主訴は肩こりと筋肉痛で、他に手足の冷えもあるというから『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介しようとしたのだけれど、断られてしまった。
     買わされると思ったのかもしれない。
     この、呪文のように長ったらしい名前の漢方薬は、名前が効き目を現していて内容が実に分かりやすい。
     当帰は血流改善、四逆はストレスの改善、呉茱萸は水分代謝の改善、生姜は冷え性の改善。
     症状が思い当たれば「最初に使うべき漢方薬」とも、「最後の砦の漢方薬」とも云われているのだ。
     紹介したかったな……(´・ω・`)

    当帰四逆加呉茱萸生姜湯
     

  • 子供と大人では肌の乾燥対策が違う

     お客様から『メンタームEXプラス』を肌の痒みと乾燥がある3歳の子供に使って大丈夫か尋ねられ、尿素入りのため子供がチクチクした刺激を嫌がるかもしれないので、『メンソレータムAD』か、痒みには虫刺されの薬を使って、保水にワセリンを使う方法を提案してみた。
     今回は刺激があっても、奥さんが好んでいて自身に使うとのことで、そのまま購入された。
     お客様には、保水機能が未発達で乾燥する子供と、保水機能が衰えてきて乾燥する大人では対処方法が違うことを伝えた。
     言ってしまうと子供は表面をワセリンで覆ってしまえば充分で、大人になるにつれて皮膚を潤すヘパリン類似物質を使ったり、水分をガッチリと捕まえておく尿素入りの物を使うのだ。

     夫婦のお客様が来店し、奥さんの蕁麻疹に『液体ムヒS』が使えるか訊かれたので有効なことを伝えて、お買い上げいただいた。
     ただ、寝ている時になるそうなので『レスタミン錠』や『アレルギール錠』、あるいは現代薬と『十味敗毒湯』を合わせた『タウロミン錠』といった内服薬も検討するように伝えた。

     常連の高齢のお客様から、温感で小さい湿布をと注文されて『点温膏K』を案内したところ、以前に骨折して鉄板を入れた足に貼るとのことで大きめの物も希望されたため『ハリックス55EX温感ハーフ』も紹介すると両方を購入された。
     ただ、いずれもあくまで温感であるため、鉄板が入っている足を温めるとなるとカイロなどを使った方が良いことを伝えた。
     他に『アンメルツヨコヨコA』のロングタイプが欲しいからと『アンメルツNEO液ロング』を購入されようとしたけれど成分が異なり、主成分のジクロフェナクトリウムは血流にも入っていくことから、複数の処方薬を服用しているお客様には勧められないことを説明した。
     海外にスキーに行くとのことで標高が高いようなため、血流を良くし保水をして温める力も強い『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介すると、これまた一緒に購入された。
     保険の適応薬だから、病院で処方してもらうよう勧めたのに。
     こちらから紹介すると買われてしまうから、油断できない(^_^;)
     お客様からは「助かる」と、おっしゃっていただけたけれど。

     

  • 名前が違うと漢方薬だと思わない? 漢方薬だから安全?

     夫婦のお客様が来店し、奥さんが夜中にトイレに起きて一度起きると寝られないとのことで『八味地黄丸』を案内した。
     しかしお会計のさいに、家には前に買った『ハルンケア』があり、市販の薬は怖いから飲まなかったというため、同じ処方であることを説明し先にそちらを使ってはと勧めたが、そのまま購入された。
     『ハルンケア』という名前だから、漢方薬だとは思わなかったらしい。
     漢方薬なら安心と言われたが、そんなことはありませんと伝えた。
     以前に何かの薬で呼吸器に問題が出たそうなのだけれど、薬の名前も種類も覚えていなかった。
     そういう問題が起きた薬は、記録をしておかないといけません。
     そのために、お薬手帳があるので。
     遠赤外線腹巻は効かなかったとも言っていたが、やはり下半身は温めた方が良いから腹巻をすることには意味がある。
     ただ、夜中にトイレに起きるのは水分の摂り過ぎではなく、塩分の摂りすぎにより排出しようとして尿意を催すので、夕飯のメニューというのも案外と大事である。
     また水分の摂り方も重要で、腸が短時間に吸収できる水の量は決まっているから、小分けにして飲むのが良い事をお話した。

     女性二人組のお客様が来店し、頼まれ物とのことで『太田胃散』を2缶注文されたため、服用する人は高齢者か確認した。
     すると高齢者だというので、常用していると塩分の摂りすぎになったり、ミネラル成分が腎臓に負担をかけてしまうことを伝え、病院を受診しているようであれば担当医に使っていることを知らせるようにお願いした。
     若い頃から使ってるという理由で高齢になってからも同じ薬を漫然と使っていると体に良くないから、気をつけてもらいたいところ。

     お客様が『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を購入されるさいに、使用経験を尋ねてみると娘さんからの頼まれ物で、おそらく本人も初めてだろうとのこと。
     主訴は教えてもらえなかったけれど、当帰は血流、四逆は手足の冷え、呉茱萸は水分代謝、生姜は体全体の冷えを改善することを説明し、冷え性の人には最後の砦となる漢方薬ですと伝えた。
     私自身はスキーに行く時に服用していることと、効果があるようであれば保険の適用薬であるため病院で処方してもらえることをお話した。
     そして薬は「使った方が余計に効く」ことがあるので、本人にも伝えて下さいとお願いした。
     でもやっぱり、症状のヒアリングをするにも薬の効き方を説明するにも、養生法を伝えるのにも、代理人よりは患者さん本人の方が良いので、可能であれば来店を。

     

  • 薬は買わなくてもいいから遠慮無く質問を

     お客様から、連れている9歳の子供の鼻づまりの相談を受け、『鼻炎薬Aクニヒロ』と『ムヒのこども鼻炎シロップS』を勧めようとしたら、お客様からは『ルルAシリーズ』でと指名されたため、『新ルルA錠s』を案内して、お買い上げいただいた。
     総合風邪薬には、解熱剤や咳止めなど余計な成分も入っているから鼻づまりだけなら鼻炎薬の方が体への負担は少ないのだけれど。
     親の好みで子供の薬を選んで良いのかなーと、つい思ってしまう(´・ω・`)
     子供は上は厚着をしていたが、下がスカートとタイツだったので下半身に厚着させるよう伝えた。
     寒いと上の方ばかりに気を取られて、下半身の防寒は忘れられがちである。

     高齢のお客様から、しもやけの相談を受けたが詳しく訊くと抗がん剤による浮腫(むくみ)が手に起きており、抗がん剤と併用できる薬をと注文をされた。
     しかし、おくすり手帳を持ってきていないため服用している薬が不明。
     一般的に『ヒビケア』などの成分で問題は無いものの、塗り薬も内服薬と影響することがあるため、担当医には使ったことを報告するようお話したうえで、お買い上げいただいた。
     また、しもやけと浮腫の両方に対応した物として『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』があることを紹介し、担当医に相談してみるよう伝えた。

     お客様から、『ラクトファルミンS錠』について質問を受け、乳酸菌の効果は相性によることと、どんな乳酸菌も体からすると最初は敵と認識される可能性をお話した。
     敵と認識されてから体に馴染むまで数日間かかることがあるし、一番相性が良いのは家に居着いている乳酸菌なので、糠漬けが理想的なんである。
     ヨーグルト製品なのかも当然相性があるから、食べ比べてみるのも良い。
     また、『ザ・ガード』などのように納豆菌を加えることで、乳酸菌を腸内で育て直すというコンセプトの製品もあることを説明した。
     本日は、相談のみ。
     薬は必要なら買う、不要なら買わない、迷うなら検討するのが当然なので、相談したら買わないといけないなんて思わずに、こうして遠慮無く質問して下さいな。

     

  • 胃が弱い人と胃が働きすぎる人とでは使う胃薬も変わります

     『ギャクリア』を見ていた、やや高齢のお客様に声をかけたところ、『パンシロンG』と『ガストール』の違いを質問されたので、前者はもともと胃が弱い人向けで、後者は胃が働きすぎて症状が起きている人向けだと説明した。
     すると、病院で逆流性食道炎と診断され処方された薬があるというので調べてみると、特に服用期間は決まっていないものの定期的な検査が勧奨されている薬で、しかしお客様は病院から処方された薬を長く飲むのは良くないと思い、自己判断で服用を中止しており、通院もしていないという。
     お客様はハキハキと話される方で、『パンシロンG』と同じく胃が弱い人向けの『ギャクリア』(六君子湯)は適用しないと思われたので、『半夏瀉心湯』を紹介した。
     私としては、病院でも処方してもらえる薬だから知らせただけなんだけど、そのまま購入されてしまった。
     ううん、うっかり紹介したのはマズかったかな。
     もう一度病院には行って、担当医に報告するよう伝えたけれど、さてどうか。

     お客様から、オールインワンの化粧水の相談を受け、添加物を心配されるようだったため『ワセリン』を勧めたのだが、鼻が良く利くため、『ワセリン』の匂いがダメだという。
     そして足首に青痣があり、正座タコというお話だったが、血行不良が考えられるため、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介した。
     化粧水については何かお気に入りがあるらしく、それを改めて探してみるということで、今日はお帰りになられた。

     『太田漢方胃腸薬2』をレジに持ってきたお客様に使用経験を尋ねると、以前にも使ったことがあるとのことだったが、外的なストレスには『爽和』もあることを伝えると、違いを知らない様子だった。
     興味を持たれたので、『大正漢方胃腸薬』を基本に説明をした。
     『大正漢方胃腸薬』は胃の働きを安定させる『安中散』と痙攣性の痛みを止める『芍薬甘草湯』を合わせたもので、そこから『芍薬甘草湯』を抜いて茯苓という水分代謝を改善する生薬を入れたのが『太田漢方胃腸薬2』であり、これは『安中散加茯苓』という漢方処方となる。
     水分代謝が悪くなると胃が重くなり、なにかと「起きてもいないこと」を心配しがちになったりするのだが、不安感で心配をしていると水分代謝が悪くなるという、悪循環に陥ったときに断ち切る助けとなる。
     一方、『大正漢方胃腸薬』から『芍薬甘草湯』を抜いて『四逆散』と入れ替えたのが『爽和』である。
     この「四逆」というのは、手足の先の細い血管が緊張で細くなり冷えることを言う。
     つまり、職場の環境が変わったとか、人からガミガミ怒られるというような緊張にさらされて起きる胃の機能低下に適応する。
     今回のお客様はストレスの中身までは話されなかったが、感じているストレスは内的寄りとのことで、そのまま『太田漢方胃腸薬2』お買い上げいただいた。
     ただ、内的ストレスか外的ストレスかというのは、なかなか鑑別しにくいことがある。
     そういう時には、胃が重い気がするか温かい物を飲むと楽になるというのであれば『太田漢方胃腸薬2』を、手足の冷えが顕著なら『爽和』を、胃痛があるなら『大正漢方胃腸薬』をというように症状で選ぶと良いだろう。
     また、飲食したものが喉に上がってくるような感覚や、鳩尾(みぞおち)のあたりに指を押し込むと痛む場合には、『半夏瀉心湯』の方が適応する。

     

  • ドラッグストアーとお医者さんとが連携する仕組みが無い

     以前に手足の冷えと頻尿に『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介した常連のお客様が来店し、病院で処方してもらった朝方に動悸がするため担当医に伝えたところ、服用を中止するように言われたという。
     足が重だるい症状もあったことから低カリウム血症を疑われたようだが、検査では問題は無かった模様。
     その前から服用していた『当帰芍薬散』に戻したというのだけれど、1日3回分を処方されているのに1日2回しか服用していないそうなので、3回服用するか2回しか服用していないことを担当医に伝えるようお話しした。
     朝の動悸は、季節の変わり目のせいかもしれないと私は予想。
     お客様のお話では、担当医は漢方薬に詳しくなく、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』のことも知らなかったらしい。
     知らないからこそ慎重な運用を指示しているのだろうから、良いお医者さんだとは思うのだけれど、『当帰芍薬散』が合ってるとも思えないんだよなぁ。
     私の立場じゃ口を挟めないのが、もどかしいところ。

     『熱さまシート』を買いにいらしたお客様に、熱が高いようなら水枕をと伝えたところ、熱が出たのは家族で、熱は下がってきているそうなので、そのまま購入された。
     早い回復のためには「頭寒足熱」と、治ったように思えても内蔵に負担を掛けないために、消化に良い食事をして食欲に任せて食べさせないようにとお話しした。

     『ギャクリア』(六君子湯)をレジに持って来たお客様に使用経験を尋ねたところ、「目に付いたから」とのことだったので、念のため症状をヒアリングした。用途は、食べ過ぎ飲み過ぎということから、比較として『半夏瀉心湯』も紹介したが、胃液が上がってくるようなつかえ感は無く、お客様は痩せ型でもあったことからそのままお買い上げいただいた。
     私の母などは『六君子湯』を、飲み会に行く前に服用するなんていう使い方をしている。
     困ったもんである。

     生活用品を購入されたお客様から、市販の喘息薬があるのか尋ねられたので『半夏厚朴湯』を案内した。
     また病院では吸入器を処方されているそうなので、『半夏厚朴湯』『小柴胡湯』を合わせた『柴朴湯』も紹介した。
     市販では入手しにくいが、病院で処方してもらうことは可能なはずである。
     ただ、いずれにせよ市販薬を使ったらお薬手帳に成分表示を貼って、担当医には報告するようお話した。

     

  • 市販薬は一時的に使う「道具」です

     やや高齢のお客様から、ご主人の低体温について相談された。
     うはっ、これは難しいΣ(´∀`;)
     ご主人は35度台の体温で、テレビで低体温による病気に関する番組を見て心配しており、「何か薬を」と頼まれたそう。
     ただ、心配しているものの病院に行くのは嫌がり、散歩などの運動もしたがらないという。
     ううん、まずその考え方から治さないと(誤字にあらず)。
     ひとまず、血流の改善と水分代謝の向上のために『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介すると、パッケージに手足の冷えのことが書いてあって、ご主人は反対に手足が火照るという話があった。
     しかし、それは体内の血液や津液が正常に循環しておらず、冷えにしろ火照りにしろ体の部分に偏ってしまっている事でもあるので適応する場合がある。
     とはいえ、一度は病院の受診を勧めると、やはり医者嫌いだからということで『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を『ホカロン』と一緒に購入された。
     それと、お風呂に入らずシャワーもパッパッと済ませてしまうそうなで、シャワーの浴び方として「太い血管が通っていて皮膚の薄いところ」に重点的に浴びるよう伝えた。
     実のところ、病院に行ったり個人で努力するとかいった複合的なことを検討するという前提で市販の薬は存在するので、買った薬だけでなんとかしようというのは、ちと困る。

     やや高齢のお客様から、バップ剤と塗り薬の効き目の違いを質問されたので、剤形の違いは患部の場所によって選ぶ物で、効き目については成分によって変わることを説明した。
     まぁ、塗り薬は塗った後に乾いてしまうので、皮膚から浸透するというのがイメージできなくて、患部に貼り付いたままになる湿布を好む人は多いんだけどね。
     お客様は、市販の鎮痛消炎剤の中で一番強く浸透力もあるジクロフェナクナトリウム製剤を選ばれたけど、主訴は腰痛で、その腰痛は物を持つときに恒常的に起こるため常用を考えているようだった。
     一概には言えないけど、強い薬は急性症状に対して短期決戦で使うのに向いている。
     でないと、体が慣れてしまったら、その先の選択肢が狭まってしまう。
     そこで、フェルビナク製剤から試してみるよう勧めて『フェイタス5.0大判』をお買い上げ頂いた。
     それと、内服薬として漢方薬という選択もあることをお話すると興味を持たれたので、名前が効能の『疎経活血湯』と、加齢による腰痛に使う『牛車腎気丸』を紹介した。
     あと、症状が酷くなったら病院に行こうと思うと言っていたため、病院は「現状を知るため」に受診してみることと、漢方薬は保険の適用薬でもあることを伝えた。

     

  • 光栄の行ったり来たりでございます

     『ジンマート』を眺めていたお客様に声を掛けたところ、蕁麻疹に病院で処方されていた薬を使い切ってしまったため、一時的に使える薬を探しに来たそう。
     商売的には、うちの店に買いに来てくれるのは有り難いけれど、市販薬を使って良いかどうか、使うとすればどんな薬が良いかは、処方された薬局に相談するのが良いと思う。
     まぁ、今回は処方されている薬が分かり対応できそうなため、『レスタミンコーワ』と『アレルギール錠』を案内すると、前者のジフェンヒドラミン製剤では酷く眠くなったという。
     処方されていたという薬も副作用は眠気だけど、現れなかったというのは、やっぱり相性なんだろうなぁ。
     成分の化学構造式を読み解けるようになると、同系統かどうかだけではない作用機序での区別もつくんだけど、そこまで勉強していない(;´∀`)
     眠くなりにくい物として、『十味敗毒湯』と現代薬を合わせた『タウロミン』も紹介した。
     そして、蕁麻疹の範囲は広いそうなので、容量の多い『ラナケインS』を考えたけど、痒みが強いという話だったから、効果の面で有意と考えられる『ジンマート』を勧めて、『タウロミン』と一緒にお買い上げ頂くことになった。
     ちなみに蕁麻疹は家に帰ると発症するため、担当医からは気が緩むからではないかと言われたそう。
     仕事なと出先で緊張して血行不良になり、リラックスして一気に血流が良くなって起きるんですな。
     となると、発症した蕁麻疹に対応するより出先での緊張を解くことを考えたほうが良いのかも。
     『四逆散』が候補になりそうだけど市販では入手しにくいしから、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介し、夏野菜を避けるよう勧めた。

     電話で、お客様から問い合わせ。
     私がよくお客様に紹介している病院で『葛根湯』を処方されたさいに胃が痛くなってしまい、担当医に相談したところ『香蘇散』を処方され、同じ物がお店に置いてありますかと。
     ううん、『香蘇散』は高齢者の風邪の初期や花粉症に使えるから私も欲しいのですが、入荷ルートが無くて……。
     担当医からは、漢方薬で困ったらうちのお店を頼ってみてはと勧められたそう。
     ありゃん、それは光栄の行ったり来たりσ(^◇^;)。
     いずれにせよ、上半身を温める『葛根湯』で胃を悪くしてしまう人には、次点の候補として胃を助ける『桂枝湯』と、胃と肝臓を支える『柴胡桂枝湯』があることを説明した。
     そして電話を切ってから、ハッと気づいた。
     さっきいらした蕁麻疹のお客様に、『香蘇散』を紹介しておけば良かったかも。
     うちのお店には無くとも、病院で処方してもらえるかもしれないから。
     どうして、さっき思い浮かばなかったんだろう(´・ω・`)

     『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、咳のある風邪なのかを尋ねてみると、成人の息子さんが患者で、家にあった分を使い切ったため追加を買いにいらしたそう。
     主訴は咳だそうだから、『パブロンSゴールドW』は、総合風邪薬の中では痰の切れにくい風邪に向いているので適応するものの、咳の他に症状は無いらしい。
     咳だけならば、解熱剤や鼻炎薬まで入っている総合風邪薬では披露してしまう可能性もあるため、咳止めだけにしてみてはと提案した。
     しかし咳の状態は分からず、いつも家族で『パブロンSゴールドW』を使っているという。
     本日のところは、本人に症状を確かめてみるとのことで購入を取りやめ。
     ……怒らせたりはしていない……はず。
     この辺は自信無し(;´Д`)