適応症状 | |
虚弱体質で血色の悪い人の次の症状: | |
用方・容量(顆粒製品の場合) | |
1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。 | |
組成(顆粒製品の場合) | |
3包(7.5g)中、次の成分を含みます。 | |
類似処方鑑別 | |
十全大補湯 きゅう帰膠艾湯 黄連解毒湯 | |
使用上の注意 | |
1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください 2.服用に際して、次のことに注意してください 3.服用中または服用後は、次のことに注意してください 4.保管及び取扱い上の注意 5.その他 |
適応症状 | |
虚弱体質で血色の悪い人の次の症状: | |
用方・容量(顆粒製品の場合) | |
1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。 | |
組成(顆粒製品の場合) | |
3包(7.5g)中、次の成分を含みます。 | |
類似処方鑑別 | |
十全大補湯 きゅう帰膠艾湯 黄連解毒湯 | |
使用上の注意 | |
1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください 2.服用に際して、次のことに注意してください 3.服用中または服用後は、次のことに注意してください 4.保管及び取扱い上の注意 5.その他 |
◆漢方生薬煎じ薬 刻500gの価格参照
(1) ウコギ科のオタネニンジンの細根を除いた根、又はこれを軽く湯通ししたもの。調製法により、白参、生干人参、御種人参、紅参などがある。いわゆる「朝鮮人参」とは別物。
(2) 主成分:サポニン、精油、脂溶性成分、ペプチドグリカン、糖、アミノ酸、ペプタイド、塩基性物質、ビタミンB群、ATPなど
(3) 性味:甘・微苦、微温
(4) 薬能:大補元気・安神益智・健脾益気・生津止渇、中枢興奮作用・中枢抑制作用・疲労回復促進作用・抗ストレス作用・強壮作用・男性ホルモン増強作用・蛋白質生合成促進作用・DNA生合成促進作用・脂質生合成作用・放射線障害回復促進作用・血圧降下作用・心循環改善作用・血糖降下作用・脂質代謝改善作用・血液凝固抑制作用・コルチコステロン分泌促進作用・抗胃潰瘍作用
(5) 帰経:肺・脾
(6) 配合処方:温経湯、黄連湯、加味帰脾湯、帰脾湯、桂枝人参湯、啓脾湯、呉茱萸湯、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、四君子湯、炙甘草湯、十全大補湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、参蘇飲、清暑益気湯、清心蓮子飲、大建中湯、大防風湯、竹じょ温胆湯、釣藤散、当帰湯、女神散、人参湯、人参養栄湯、麦門冬湯、半夏瀉心湯、半夏白朮天麻湯、白虎加人参湯、茯苓飲、茯苓飲合半夏厚朴湯、補中益気湯、木防已湯、六君子湯
◆漢方生薬煎じ薬 刻500gの価格参照
◆漢方生薬煎じ薬 調剤用500gの価格参照
(1) クロウメモドキ科のナツメ、又はその他の近縁植物の果実
(2) 主成分:トリテルペンおよびエステル類、サポニン、多糖類など
(3) 性味:甘、微温
(4) 薬能:補脾胃・養営安神・緩和薬性、抗アレルギー作用、抗消化性潰瘍作用、抗ストレス作用
(5) 帰経:脾・胃・心・肝
(6) 配合処方:胃苓湯、越婢加朮湯、黄耆建中湯、黄連湯、葛根湯、葛根湯加川きゅう辛夷、甘麦大棗湯、帰脾湯、加味帰脾湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加朮附湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝湯、呉茱萸湯、五積散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、四君子湯、炙甘草湯、小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、参蘇飲、清肺湯、大柴胡湯、大防風湯、当帰建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、排膿散及湯、麦門冬湯、半夏瀉心湯、平胃散、防已黄耆湯、補中益気湯、六君子湯
◆漢方生薬煎じ薬 調剤用500gの価格参照
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募集期間:~9月5日(月)
正解発表予定:9月12日(月)
問題
男性。34歳。
職業は農業。
体格は普通、顔に艶があり、声も大きく張りがある。
主訴は、鬱病と肩こり。
通院歴があり、以前に抗うつ剤を服用していた事があるが効果を感じられなかったとの事。
肩こりは、肩だけでなく首筋や背中もこり、背中はだるく痛みもあるという。
上半身は熱く、のぼせて目が充血している。
睡眠はとれるようだが、イライラしやすく癇癪持ちという自覚があり、不安感も強い。
その他に、立ち眩み、鼻づまり、胸焼けと胃もたれがある。
以上のことから、まずは上半身の熱を降ろす必要があると考え、それと共に神経を鎮める物を併用する事にした。
2種類の漢方薬を使い、その後、のぼせが取れ、気分的にも落ちつき、体調が良くなったという。
それぞれの漢方薬は何か。
正解
正解は黄連解毒湯と柴胡加竜骨牡蛎湯です。
両方が揃った正解者はありませんでしたが、もとより幾つかの組み合わせがありますので、特に選んだ理由を記入された方の中から、どちらか一方を答えている方を正解とさせていただきました。
当選したのは、以下の3名の方です。おめでとうございます。
※寺山雄一郎様…選んだ理由:実証ののぼせには桃核承気湯が効くことがある。実証の鬱病、癇癪には柴胡加竜骨牡蛎湯が効くことがある。
※いっちょん様…選んだ理由:上半身の熱をとる代表として黄連解毒湯、胃腸を整えながら神経を鎮めるものとして抑肝散加陳皮半夏が最適と考えました。
※ペペロンチーノ様…選んだ理由:のぼせの原因が高血圧と見て肩こりや目の充血にも効く釣藤散を、黄連解毒湯はのぼせ気味でイライラする傾向に効果があるので併用するのに良いと思いました。
解説
まず上半身の熱を降ろす必要があると考えましたので、降性のうえ寒性があり、胸焼けなどが随伴症状にある事から瀉性のある物を選びます。
この段階で幾つか候補がある訳ですが、熱を降ろすのと同時に神経を鎮める作用のある物として黄連解毒湯を選びました。
特に黄連解毒湯は赤ら顔の患者さんに適応しやすく、目が充血するほどの人の場合には、生薬の山梔子(サンシシ)に止血効果もある事から、最初の選択として良いでしょう。
次に柴胡加竜骨牡蛎湯ですが、これは小柴胡湯から甘草(カンゾウ)を除いて、水分の代謝を良くする茯苓(ブクリョウ)と、鎮静効果の高い竜骨(リュウコツ)と牡蠣(ボレイ)を加えた物です。
人間の体熱が一定に保たれるのは、血液や体液が循環することによるので、体の一部に熱が偏るのは水分代謝の異常が考えられます。
立ちくらみもまた、水分代謝の異常を示していると云えるでしょう。
そして、柴胡加竜骨牡蛎湯は基本的に実証タイプの人に用いますが、体力が中等度であればイライラや精神不安などある場合に、最初に使うことができるという利点があります。
今回は、上半身ののぼせを降ろす際に選びやすい物と、イライラしたり精神不安のある際に選びやすい物を組み合わせたのが功を奏したようです。
補足
正解者に挙げていただいた漢方薬を検討してみますと、桃核承気湯も当然候補になるかと思います。
特に含まれる生薬の桃仁(トウニン)はお血を取り除くのに効果的でしょう。
ただし、桃核承気湯におけるのぼせへの効果は発散性であり、熱を降ろしたり冷やしたりするのは弱いと考えられます。
一方、抑肝散加陳皮半夏は生薬の柴胡(サイコ)による胸脇苦満を治す作用と、釣藤(チョウトウ)による鎮静作用が期待できます。
しかし同時に、元になっている抑肝散という処方がそうであるように、虚症で貧血傾向のある人の神経の昂ぶりに用いると考えた方が適当でしょう。
釣藤散は生薬として石膏(セッコウ)が入っており、熱証向きである事は間違いありませんし、名前にもなっている釣藤は先に書いたように鎮静作用に優れているうえ、血圧降下作用も認められています。
特に生薬の菊花(キクカ)は、眼や脳の充血を取り除く効果があり、今回の患者さんの状態に適しています。
組み合わせで考えた場合には、黄連解毒湯の代わりに釣藤散を用いるのが良いかもしれません。
他に寄せられた答えの中には、次のように物がありました。
七物降下湯は、鎮静作用の強い釣藤も入っており、高血圧にも効果があります。
しかし、七物降下湯は、やや特別な部類に入り、冷え症で虚弱体質の人の高血圧に用います。
これはどういう事かというと、虚弱な人の中には、体の方で「弱いから頑張ろう」と頑張り過ぎてしまい、その結果として高血圧になったり、目が充血してしまう場合があるのです。
そのため、今回のように体格が普通で顔色に艶があり、声が大きいような人には向きません。
似たような物として、加味帰脾湯という解答がありました。
効能書きにもあるように、やはり虚弱体質で顔色の悪い人に用いるのが一つの指針になります。
特に貧血のある人で、イライラしたり不眠症の場合に用いると効果的でしょう。
世間では、立ちくらみがあると貧血と勘違いされる事が多いようですが、立ちくらみは貧血の症状の一つにしか過ぎず、立ちくらみの原因は多岐に渡るので注意が必要です。
逆に、これは強すぎるのではないかと思った物として、三黄瀉心湯という解答がありました。
生薬はたった三つで構成されており、そのいずれもが降性で寒性があり、脳溢血の発作に用いたり、戦国時代には止血剤として使われたという記録もあるほどです。
もちろん、だからこそ効果は期待できるものの、その強さゆえに一般的には便秘のある事が使用の際の条件として挙げられる事が多いため、便通について触れていない今回の問題では除外させていただきました。
センソ牛黄元を一緒に組み合わせるという解答もありましたので、それも良いかもしれません。
今回の解答で迷ったのは、熱を降ろすのと、熱を発散するのとの違いでした。
その意味では、半夏厚朴湯と葛根湯加川きゅう辛夷の組み合わせというのも興味深かったのですが、除外させていただきました。
「イライラしやすく癇癪持ちという自覚があり、不安感も強い」という点から半夏厚朴湯を挙げたのは、良い着眼点だと思います。
主な生薬の半夏(ハンゲ)と厚朴(コウボク)は共に降性で、今回の症状にも使えるかもしれません。
しかし、今回の患者さんは胸焼けや胃もたれがあるとは言っていますが、実際の胃の働きについては問題からは分かりません。
そして、半夏厚朴湯は胃アトニー(胃が働かない)場合の不安神経症に適しており、その参考の一つに咽喉の痞え感を訴えているかどうかを確かめる必要があるでしょう。
また、興奮すると息がしにくくなるなどの呼吸器の状態も参考になります。
葛根湯加川きゅう辛夷は、肩から背中にかけてのこりと鼻づまりに注目したからだと思いますが、その主な作用は上半身を熱する事によって熱を発散するのだと覚えておきましょう。
沸かしたお湯に氷を入れて冷やすのではなく、鍋の蓋を開けておいて放熱する事で冷ますというイメージになります。
そのため、顔が赤いなど、明らかに熱証と思われる患者さんには適しません。
他に、杞菊地黄丸と小柴胡湯という組み合わせの解答がありました。
杞菊地黄丸は、やはり生薬の茯苓と沢瀉(タクシャ)が水分の停滞を除き、牡丹皮(ボタンピ)が血液の循環障害を取り除くので、効果が期待できます。
やや心配があるとすれば、血色の良い人には不向きで、多少なりとも手足に冷えがあるか、口の渇きを訴える、やはり年寄り向けの処方だという点でしょうか。
小柴胡湯は解説で書いた通り、柴胡加竜骨牡蛎湯の元になった処方で、より精神神経症状に対して効果の高い物を選択した方が良いと思われます。
番外として、サトウセントジョーンズワートと、その成分の西洋オトギリ草を挙げた方もいらっしゃいました。
ヨーロッパや中央アジアに分布する直立性の多年草で、古くから不眠症や鬱病、ヒステリーなどの治療に用いられてきました。
お店としては宣伝になって良いのですが(笑)、やはりクイズの主題が漢方薬ですので、今回はハズレとなります。
今回は久しぶりに2種類の漢方薬を答えるという形式でしたので、どちらもファーストチョイスとなる物になる問題を選んだつもりでしたが、やはり両方が揃うという解答はありませんでした。
それ自体は当然といえば当然だったと思います。
個人的に興味深かったのは、同じ熱を取り除くのでも、降ろす物と発散する物とでは、効能書きだけを見ていると似ているようでも違うのだなという事を、改めて認識できた事でした。
これにさらに、石膏(セッコウ)などのように直接冷やす物もあります。
一つ一つの生薬の効果を調べるのは難しいとは思いますが、似た効能でも、その効果を発揮する過程が違う物もある事を、皆さんにも知っていただければ幸いです。
参加者コメントより
まりん:とても見やすく、内容もわかりやすいサイトですね。
ありがとうございます。これからも宜しくお願いいたします。
かとう:久しぶりの症例クイズで楽しませて頂きました。
発表の方が遅れに遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。また、機会がありましたら、ぜひご参加下さい。
久保田 美穂:漢方は飲んでいたこともあり、よく勧められるので、興味を持っています。こちらでは、クイズを通して勉強でき、いいなと思いました。ただ、最初に掲示板を見て、怖い書き込みが沢山あり、びっくりしてしまいました。その後他のページを見て、安心しましたが。楽しみにしています。
掲示板の件については、ご心配をおかけしてしまったようで申し訳ありません。件のイヤガラセをしてきた人物が名乗っていた会社は解散したようですので、ひとまず安心できるかと思っています。どうぞ、気兼ね無くご利用下さい。
ペペロンチーノ:調べているうちに更年期障害の症例が検索に多数ヒットして人事じゃないなと感じました。その時は私も漢方のお世話になります。
まぁ、薬に頼らないのが一番ですが、それでは商売上がったりですので、何かの折にはご相談下さい。
食事の不節制がおこす病気と、それを調節する漢方薬
食事の不節制は、脾や胃腸を障害します
飲食物は、脾や胃腸によって消化・吸収され、気・血・津液をつくります。
したがって食事の不節制は、脾や胃腸を障害したり気・血・津液の生産や代謝を失調させ、ひいては全身に影響を与えます。
しかし食事の不節制のしかたによって、どのように脾や胃腸が障害されるかが違ってきます。
漢方では食事の不節制を、摂取量の不節制(過食や食べなさすぎ)、偏食(なまものや冷たいもの・辛くて熱いもの・油ものや甘いもの)、不潔なものの飲食などに区別しています。
過食によっておこる病気
過食は「食積」を起こします 一般に過食(食べすぎ)とは、自分の脾胃の消化・吸収能力を超えた量の飲食物を摂取することをいいます。
たまに一度や二度暴飲暴食をしても、脾胃の機能はすぐに回復しますが、過食がたびかさなると、消化・吸収もされず、排泄もしきれなかった飲食物が蓄積してしまいます。
そして、この蓄積したものを「食積(しょくせき)」または「食滞(しょくたい)」といいます。
子どもは食欲を自制して食事をコントロールすることが困難なため、比較的食積をおこしやすく、これをとくに「疳積(かんせき)」といいます。
また、生活習慣が夜型になって、深夜寝る前に食物を口にする人が増えていますが、これも消化が悪く、食積の原因になります。
食積があると、お腹や胃の膨満感・腹痛・胸やけ・ゲップ・悪心・嘔吐・油ものなどの臭いをかぐと気分が悪くなる・酸っぱい水が口に上がる・大便がスムーズにできらない・舌の上に厚い苔がつくなどの症状がおきます。
食積を治す漢方薬
食積には「消食剤」を使用します
食積には、消化を促進して滞っている食積を排除する「消食導滞(しょうしょくどうたい)」という方法で治療しますが、漢方薬では「消食剤」という分類の処方を使用します。
代表的な漢方薬には、次のものがあります。
1.保和丸(ほわがん)…過食による消化不良に用いる、もっとも代表的な処方です。食積の説明で紹介した症状のどれにも有効です。
2.木香檀榔丸(もっこうびろうがん)…保和丸よりも腹に熱がたまって、お腹の脹りや痛み・下痢または便秘などの症状が強まり、舌の上の苔が黄色くない人に使用します。
3.枳述丸(きじゅつがん)…食積が慢性化したために脾胃の機能が低下して、食欲が減退しはじめた人に使用します。
食べなさすぎによっておこる病気
飲食物の摂取量が少ないと、気血が不足します
現代の日本は豊かですから、一般的には食事が取れないということはほとんどありませんが、女性がウェイトコントロールのために食事を制限することはよくあることです。
飲食物を取る量が少なすぎると、栄養分の絶対量が不足して気・血が充分につくれなくなり、疲れやすい・倦春感が強い・頭がボーツとする・めまい・立ちくらみ・息切れなどの症状が現れます。
そしてこの状態がさらに悪化すると、脾胃の気も不足して消化機能が低下し、今度は本当に食べられない「拒食」状態になってしまいます。
拒食を治す漢方薬
拒食には脾胃の気を補う「補気剤」を使用します
まだ気・血の消耗は少なく、ただウエィトコントロールのために食事を制限している人の場合は、無理をしないようにアドバイスするだけで、あえて漢方薬で治療する必要はありません。
しかし「拒食」状態になると、脾胃の気を補って消化・吸収機能を活発にする「補気健脾」という治療をして気・血の生産を促してあげないと、自力では回復することができません。
補気健脾に使用する処方は、「補気剤」に分類されています。
代表的なものには、次のものがあります。
1.四君子湯(しくんしとう)…補気剤の代表的な処方です。
顔色が白い・立ちくらみ・倦怠感が強い・食欲不振・軟便で下痢しやすい・息切れしやすい・脈に力がない・舌の色が淡いなどの症状に使用します。
2.補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…四君子湯を使う症状に加えて、気・血が頭に昇らずめまい・脱肛がおきたり、気が消耗して微熱がでているようなタイプに使用します。私は、これが手放せません(^_^;)
3.帰脾湯(きひとう)…四君子揚を使う症状よりさらに血の消耗が激しく、動悸やめまい・月経過多・無月経・不眠などの症状をともなうタイプに使用します。
なまものや冷たいものの偏食によっておこる病気
なまものや冷たいものは、お腹に「寒湿」をためます
冷たいものばかりを好んで食べていてお腹を冷やしてしまった経験は、誰もが一度や二度はあることと思いますが、漢方では生物(なまもの)も同じように冷えの原因になると考えます。
したがって、日頃から生野菜・さしみ・清涼飲料水などを好んで飲食していると、しだいに「脾陽(ひよう)」(脾胃を温めて運化機能を活発にする陽性の気)が障害されて、胃腸内に「寒湿(かんしつ)」といわれる冷たい水分が停滞してしまいます。
寒湿が胃腸に停滞し脾陽を障害すると、胃やお腹が冷えて痛んだりつかえる・食欲の減退・軟便・口から清水があふれでる・頭や体が重だるい・手足の冷え・むくみ・舌に白くねっとりした苔(白朕苔)がつくなどの症状がおきます。
胃腸の寒湿を取り除く漢方薬
胃腸の寒湿には「社湿剤」を使用します
胃腸に停滞した寒湿を取り除くには、脾胃を温めながら湿を乾燥させたり除去したりする「燥混和胃」や「温化水湿」という方法で治療を行います。
使用される漢方薬は「去湿剤」に分類されるもので、代表的な処方には次のものがあります。
1.平胃散(へいいさん)…寒湿が脾胃に滞って、胃痛・胃腸の膨満感・食欲減退・悪心・嘔吐・軟便・身体が重い・舌に自蹴苔がつくなどの症状に使用する処方です。
2.苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)…胃腸に停滞した寒湿がみぞおちから胸脇(きょうきょう)に影響して、動悸・みぞおちや胸脇のつまり・息切れなどの症状が現れる人に使用します。
3.真武湯(しんぶとう)…平胃散のタイプより脾陽や腎陽の衰退が著しく、上肢や下肢の冷えやむくみ・下痢などの症状が顧著に現れている人に使用します。
4.香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)…平胃散のタイプより脾気の衰退が著しく、食欲不振・倦怠感・疲れやすいなどの症状が顕著に現れている人に使用します。そのほか、五苓散(ごれいさん)・理中丸(りちゅうがん)・二陳湯(にちんとう)なども使用することができます。
熱くて辛いもの(辛辣)の偏食によっておこる病気
辛辣の偏食は、水分を乾燥させて熱状態を起こします
キムチやカレーのような熱くて辛いものを「辛辣(しんらつ)」といい、身体を温める作用がありますが、反対に食べすぎると水分を乾燥させて熱状態をおこします。
したがって、これらばかりを偏食していると、胃や腸に熱がこもり乾燥して潤いがなくなるために、口渇(のどが渇き、水分を欲する)・胸やけ・口臭・歯痛・歯ぐきの出血・胃痛・便秘・痔出血・舌は赤く黄色い苔がつくなどの症状が起きます。
胃腸の熱や乾燥を治す漢方薬
胃腸の熱や乾燥には「清胃熱剤」や「潤燥剤」を使用します
胃腸の熱(「胃熱」という)や乾燥を取り除くには、胃腸を冷やしたり乾燥を潤したりさせる「清胃潟火」や「滋陰潤燥」という方法で治療します。
使用される漢方薬は「清胃熱剤」や「潤燥剤」に分類されるもので、代表的な処方には次のものがあります。
1.清胃散(せいいさん)…胃の熱が顔や頭に上昇して、前頭部の頭痛・口渇・胃痛・胸やけ・歯痛・歯ぐきの出血・口臭・舌は赤く黄色い苔がつくなどの症状に使用します。
2.玉女煎(ぎょくじょせん)…清胃散を使う症状より潤いが少なく乾燥が著しい人に使用します。そのほか糖尿病で喉が渇きお腹がすいてしようがない人は、胃熱が強いタイプの糖尿病であり、この処方の適応範囲になります。またこのタイプの糖尿病で比較的初期の人には、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)がよく用いられます。
3.増液承気湯(ぞうえきじょうきとう)…熱によって胃腸の潤いが失われ、便が乾燥してでなくなった便秘に使用します。
4.槐角丸(かいかくがん)…胃腸の熱が下がり、肛門が腫れて持出血をおこしている人に使用します。
肥甘厚味(油もの・甘いもの・味の濃いもの)のものの偏食によっておこる病気
肥甘厚味のものは、お腹に「湿熱」をためます
油もの・甘いもの・味の濃いものを「肥甘厚味(ひかんこうみ)」といいます。
日頃、肥甘厚味のものやお酒を好んで多量に飲食していると、しだいに胃腸に湿気と熱が結合した「湿熱」という不要物が停滞してしまいます。
湿熱が胃腸に停滞すると、胃部のつかえ・お腹の脹りや痛み・むかつき・顔や肌が黄色くなる・大便がねばつく・小便が黄色い・身体が重くだるい・分泌物の多い湿疹ができやすい・口がねばる・舌に黄色くねっとりした苔(黄朕苔)がつくなどの症状が現れます。
胃腸の湿熱を取り除く漢方薬
胃腸の湿熱には「清熱社湿剤」を使用します
胃腸に停滞した湿熱を取り除くには、胃腸を冷やしながら湿を除去する「清熱去湿・和胃」という方法で治療します。
使用される漢方薬は「清熱去湿剤」に分類されるもので、代表的な処方には次のものがあります。
1.連朴飲(れんぼくいん)…湿熱が胃腸に潜伏して、吐いたり下痢したりする・胃や胸がつかえてむかつく・舌に黄膩苔がつく・小便が黄色くなるなどの症状に使用します。
2.黄連五苓散(おうれんごれいさん)…これはよく二日酔に使われる処方で、水湿を除去する五苓散と清熱解毒の作用がある黄連解毒湯を合わせたものです。半夏潟心湯(はんげしゃしんとう)も代用されます。
3.棋実導滞丸(きじつどうたいがん)…湿熱を発生する飲食物がお腹に停滞して、胃やお腹が賑って痛む・下痢または便秘をする・舌に黄膩苔がつくなどの症状に使用します。
4.茵陳蒿湯(いんちんこうとう)…黄疸・お腹が少し脹る・口渇・小便の出が悪い・皮層のかゆみ・舌に黄膩苔がつくなどの症状に使用します。
5.健脾丸(けんぴがん)…棋実導滞丸を使用するタイプが慢性化したことによって脾胃の機能が減退し、食欲不振・胃やお腹のつかえ・下痢などの症状を起こしている場合に使用します。
不潔なものを飲食した場合
不潔なものを飲食すると、食あたりや食中毒を起こします
不潔なものの飲食とは、食当たりや食中毒などにあたるものです。
漢方でも芍薬湯(しゃくやくとう)や白頭翁湯(はくとうおうとう)などの処方がありますが、これについては伝染病などの問題もあり、現代医学の処置を必要とすることが多いので、ここでは割愛することにします。
ただし、これによって体力が著しく消耗し回復が思わしくないような人の場合は、漢方の出番となりますのでご相談下さい。