皮膚の病気は見た目だけでは分からないうえ、薬の選択も難しい

 成人の親子のお客様が来店し、水虫の薬を求められたので売り場を案内したうえでヒアリングすると、やや高齢の親が使うとのことだった。
 水虫には以前になったというものの、現在の症状は指の間の皮が剥けていても痒みは弱いというため湿疹の可能性もあることを説明した。
 受診勧奨したうえで、『ダマリンL』をお買い上げいただいた。
 湿疹に殺菌剤である水虫の薬を使ってしまうと、刺激性があるから炎症をかえって強めてしまい、皮膚の再生も邪魔してしまうため悪化させる事になってしまう。
 反対に、水虫に湿疹の薬を使うのは効果としては弱くとも、炎症や痒みは抑えてくれるので、ひとまず安全は確保される。
 ただし、本当に水虫だと治るまではいかず長引いてしまうことは考えられる。
 そして、水虫の原因は真菌だから患部を見るだけでは分からず、病院で診察を受けないと判定するのは難しい。
 そのため水虫の薬によっては、パッケージに小さい文字だけれど、使用する前に医師に相談するよう注意書きがある。

ダマリンL

 お客様からニキビの薬を求められ売り場を案内すると、高校生の娘さんから『ペアアクネクリームW』を頼まれたとのことだが、年齢的には炎症を抑える『クレアラシル』の方が合っている可能性をお話した。
 成長期のニキビは、細胞の増殖が活発ゆえに不均質な部分にアクネ菌の好物である皮脂が溜まって、患部を炎症させていることが多く、成人後のニキビは食事の偏りや疲労などによって皮膚の細胞が壊れた場所にアクネ菌が溜まるのだが、炎症する力自体は弱いため殺菌がメインの対応となる。
 娘さんは滅多にはならないそうで、患部から膿が出たというため、オデキではないかとお話すると「ううん、ニキビ」とのお返事で、ニキビはアクネ菌で起こるものであり、オデキは黄色ブドウ球菌などが原因のことが多く、オデキであれば『テラマイシン軟膏』などの抗生剤を使った方が効果的なことを説明した。
 薬は本人が買った方が良いとお話してみると、早く帰りたいそうな雰囲気になり、「もう一度本人に聞いてみる」と言われたので深追いはやめて、そのまま『ペアアクネクリームW』をお買い上げいただいた。
 一応は『ペアアクネクリームW』にも殺菌成分は入っているけれど、抗生剤に較べれば弱く、オデキの場合には力不足。
 ニキビの相談を受け、よくよく患部を見せてもらったらオデキだったことは少なくないので、やはり本人に確認したいところではある。

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 スキンケアの棚で迷ってる様子のお客様がいたので声をかけてみたところ、目元の炎症に使う薬を探しているとのことだった。
 顔に塗れる薬はあっても目元となると、やはり目に入るリスクを考えない訳にはいかない。
 肌に塗る薬では『イハダプリスクリードD』か、 あるいは痒み止めの入った目薬である『ロートアルガード目薬』を塗る方法を提案した。
 しかし見た目の炎症と違って、痒みは無いというためワセリンに消毒薬を加えた『オロナインH軟膏』か、『ワセリン』を塗って保護しておけば自然に治る可能性をお話したところ前者を購入された。
 『オロナインH軟膏』は、ただの消毒薬で治す効果は期待できないけれど、油分で患部を保護すれば体が自分で治してくれる間に、指が触れたりして治るのを邪魔するのを防ぐことができる。
 お客様が話してる間も患部に手をやっているので、触らないよう注意をと伝えた。
 皮膚疾患の相談をされるお客様は、患部を見せてくれる時に何故か触ってしまいがち。

オロナインH軟膏

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