その薬の購入を止めるのには理由があります

 やや高齢のお客様がご購入されるさいに、他のお店で『アネトンせき止め錠』を買おうとしたら薬剤師に止められてしまったと不満を漏らされた。
 しかし詳しく話を訊いてみれば、主訴は痰が引っかかるだけで咳は無いというから、その薬剤師さんが止めたのは当然だろう。
 咳き込んで眠れないとか、息を吸えても吐くのが苦しいといった症状が無い時に使うような薬ではない。
 お客様に『ストナ去たんカプセル』を紹介したところ、今は『龍角散ダイレクト』を使っているというので、それでも良いことを伝えた。
 お客様からは「自分で適当に選んじゃダメだね」と言ってもらえたので、私としてはお買い上げが無くても満足である。

 お客様から『ガスター10』を求められ、薬剤師のいないうちのお店には置いていないことを伝えたうえで、効果のある症状は限られて、 胸が焼けるような感じがするとか苦い水が上がってくるといった場合に用いることを説明し、『スクラート胃腸薬』と『スクラート胃腸薬S』を紹介した。
 普段から元気な人が食べ過ぎてしまって胃を痛めた場合には前者の無印が向いていて、普段から食欲旺盛な訳ではなく胃が疲れて機能低下している場合には後者のSが適応するのだが、今回は無印の『スクラート胃腸薬』を購入された。
 お客様からは、何故か最後まで具体的な症状を話してもらえなかったが、食べ過ぎではあるようだ。
 お客様には、胃薬は販売する側からは鬼門で、「風邪薬を選んでるお客様には声をかけても、胃薬を選んでるお客様には声をかけられるまで黙っていよう」と思ってしまうくらい選ぶのが難しいことを伝えた。

 

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