ニキビの原因になるアクネ菌と、食中毒の原因になる黄色ブドウ球菌の“奇妙な関係”

 外国人と思われる女性3人組のお客様から、コラーゲンが美白に効くか質問されたので、お金を捨てるようなものとお話して、『ハイチオールCホワイティア』を紹介した。
 魚の脳を食べても脳の成分にはならないように、豚のレバーを食べても肝臓になる訳ではないのと同じく、コラーゲンを食べても皮膚にはならないのである。
 摂取した食べ物は体の中で消化吸収されると、さらに分解されて他の栄養素と再構築されてから体の一部になるのだ。
 それならまだ、体の代謝を助けるビタミンCやL-システインの入った医薬品の方が効果を期待できる。
 また、L-システインは肝臓でのアルコールの代謝にも役立つので、二日酔いにも使える。
 お客様には食養生として、地面の下にできる根菜や断面の色の濃い緑黄色野菜を重点的に食べることと、肉であれば牛や豚よりも羊の方が栄養分が豊富なことをお話した。
 ただ、最初に質問してきた本人は、何故か聞いていなかった。
 逆に他の二人は、興味津々といった感じで話に食いついてきたんだけどねぇ。

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 電話で『テラ・コートリル』が置いてあるか問い合わせがあり、来店時にヒアリングしたところニキビに使うというため、『ペアアクネクリームW』も案内したところ、ネットで「テラ・コートリル」がニキビに効くとあるの見たとのお話だった。
 確かに抗生物質だからニキビにも効果はあるものの、一般的には黄色ブドウ球菌によるオデキなどに使う物で、アクネ菌が原因となるニキビとは対応が異なることを伝えたうえでお買い上げいただいた。
 黄色ブドウ球菌もアクネ菌も、人間の体にもともと住んでいる菌であり、アクネ菌は黄色ブドウ球菌の繁殖を抑える働きをしているため、ニキビの原因菌が食中毒を防いでいるともいえる。
 そしてニキビの薬の多くは皮膚の新陳代謝を促して自然治癒を目的とした処方内容なのに対して、抗生物質は菌を倒すことを目的としている。
 だから抗生物質をニキビに使うのは、黄色ブドウ球菌はおろか体を守るアクネ菌も倒してしまい、いささか過剰防衛だ。
 じゃあ、黄色ブドウ球菌だけ倒せれば良いのかというと、そう上手くもいかない。
 黄色ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌で、実は用心棒みたいなもの。
 ヤクザを追い出したら中国マフィアが乗り込んでくるみたいになってしまうから、倒せば良いというものではなく、黄色ブドウ球菌は体の外敵に睨みを利かせてるのだ。
 後でネットの書き込みも見てみたところ、あくまで体験談だし、書き込んでいる人もニキビとオデキの区別がついていないようだった。
 お客様自身はアトピーで通院してるというため、内服薬の『清上防風湯』を紹介し、担当医に使って良いか相談してみるよう勧めた。
 使えるようであれば、保険の適用薬でもあるから処方してもらえるかもしれないし。
 また、皮膚の回復力を高めるために『ハイチオールCホワイティア』を紹介した。
 するとサプリメントのコラーゲンについて質問されたので無意味なことをお話し、ハトムギは効果が期待できるものの医薬品に『ヨクイニン』があることを説明した。
 また、皮膚の改善には材料を運ぶ血流が大事なので入浴をすることと、体温を高めに保つために夏野菜を避けて根菜や緑黄色野菜を摂るよう勧めた。

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