添加物を怖がる人が致死性の細菌を怖がらない不思議

 やや高齢のお客様から目薬の場所を尋ねられたので案内しようとすると、「いいんだいいんだ」と断られ方向だけ教えた。
 気を使ってくれたのだと思うのだけれど、売り場は定期的に移動するため正確な場所を覚えていないこともあるため、最後まで案内をさせてもらう方が気持ち的に助かります。
 お客様が『スマイル40EXマイルド』をレジに持ってきて、お会計を終えてから「これと同じだよね?」と持ってきていた目薬の瓶を見せられた。
 うちのお店に置いていない銘柄で、成分を確認すると痒みに適用する物だから、疲れ目の『スマイル40EXマイルド』とは別物だ。
 しかし、お客様あまり気にせずそのまま帰られた。
 帰りぎわに目薬の挿し方として、挿した直後は目を閉じて下を向き、しばらく待つようにすると目に行き渡ることを教えると喜ばれた。
 でもやっぱり、痒み止めの入っていない目薬で良かったのだろうかと気になる。
 小売業としてはお客様の希望が優先とはいえ、登録販売者としては適応する薬を案内するのが職務なので。

 お客様から、『ソフトサンティアひとみストレッチ』と『新サンテドウα』の違いを質問され、疲れ目に対して前者のシンプルな処方と後者の範囲が広い処方の、それぞれの利点お話した。
 すると添加物の心配をされたので、その添加物によって目的が変わることを『手ピカジェル』と『手ピカジェルプラス』を例に説明し、添加物を無闇に怖がる必要は無いことをお話した。
 ちなみにどちらも主成分はエタノールなので効果があるのは主に細菌だが、プラスの方にはリン酸を添加することでウイルスにも対抗できるようになっている。
 他にも、ソーセージに亜硝酸塩が入ってることを「発がん性がある」と問題視する人がいるけれど、亜硝酸塩は致死性のあるボツリヌス菌の繁殖を防ぐのに必要なうえ、そもそも亜硝酸塩は唾液にも入ってるのだから、それを怖がるという人は唾も飲めないということになるのだ。
 私としてはソーセージの添加物よりも、小さじ一杯で全人類を死滅させることのできるボツリヌス菌の方が怖い。
 添加物を怖がる人は怖くないのだろうかと、不思議で仕方ない。
 そんなお話をして、今回のお客様は『ソフトサンティアひとみストレッチ』を購入された。

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